みんなが引用している有名な論文が見つからない!
さて、こんな時にどうするか。
- 読まずに引用する←最低
- 泣く泣く無視する
- 探索の度に出る。。。
今回遭遇したのは論文のアクセスの問題ではありません。調べていくと、DOIが与えられており、そこへアクセスするもURLが見つからないとなってしまう場合です。pubmedでabstractくらい読めたら良いのですが、それすらも見つからない場合、何が起こっているのか?最初は全く理解できませんでした。その論文も単純な症例報告なのですが、どうでも良い報告ではなく、その分野ではその後の論文で必ずと言って良いほど引用されている。そしてご丁寧にも、pdfをネットで閲覧するとURLに直接リンクができるように手が施されている。そしてアクセスするも「URLが見つかりません」と。どうしたものか。
独自サイトがあるはずなのに見つからない
私はまず雑誌名をGoogleで検索しました。仮に論文取り下げとなっても、その出版雑誌のサイトには痕跡自体は残ると考えたからです。論文一覧を見たら、その論文の前後でページ数が不自然に飛んでいるなど見つけられるかもしれません。しかし、今回はその雑誌のサイトすら見つからないのでした。おそらく独自サイトで投稿募集、公開していたと思われる雑誌でした。しかし、痕跡がない。どんなにマニアックな雑誌だとしても、Googleが上位に表示させないのはますます変。
検索結果に似たような名前の雑誌サイトが出てくる
そこで見つけたのが、よく似た名前の雑誌です。具体的に書くと、私が探していた雑誌は「Journal of Integrative Nephrology and Andrology」という雑誌です。一方でGoogleで表示されるのは「Integrative Medicine of Nephrology and Andrology」という雑誌です。この手の名前の違いは大きいもので、1単語含まれるかどうかで全く異なる(ハゲタカジャーナルを含む)雑誌となる業界なので、おそらく異なる雑誌なのだろうとスルーしていました。。。
しかし、それが誤りだったのでした。。。
似たような名前の雑誌が怪しい!?
何度、雑誌を調べても、最後の最後に行きつくサイトが表示されない。そんなことを繰り返して2時間ほど、、、
最初に出てきた別の雑誌と考えていた似た名前の雑誌のサイトの検索結果の小見出しに「originally launched as Journal of Integrative Nephrology and Andrology」の記載がある事を見つけました。
もしや、この雑誌が前身なのかと気付き、そのサイトにアクセスしたところ、、、
やはりこれら2つの雑誌は同じ系譜であり、後継をしているとの解説がされていました。はいはい、ありがとう、、そして以前のアーカイブはこちらからどうぞというリンクまで付けて頂いており、これで一見解決した、、、
かと思ったら大間違いでした。
そうです。そのリンク先のURLが存在していないのです。
URLが存在しない理由
ちなみにこの雑誌は中国系の資本におそらく買収され、中国人や病院による運営に変わっているとの事でした。歴史を紐解くと2014年創刊~2021年に中国系に買収される~現在に至るという流れでした。つまり以前のサイトの運営をそのまま中国資本が継続していてくれていたら良いものの、おそらくそこは引き継がず、もちろん過去の運営元も資金がないためサイトの運営ができず、既に過去のアーカイブにアクセスする事ができなくなっているという事が想像できました。
確認するとその論文は2015年にpublishされているのですが、その論文を引用している論文は2018年頃が最後で、その時にはもちろんアクセスできていたのです。ネット上にpdfの1つくらい落ちていたら良いものですが、そんなことは権利上の問題で存在しませんでした。
タイムマシンに乗る
そこでぼんやり思い出したのが「暇を潰せる沼サイトbest10」というYouTubeのショート動画でたまたま見ていた「過去の日付に遡って、当時のサイトの姿を見れる」というサイトでした。もしや、失われたURLであってもアーカイブだけは確認できるかも。。。という淡い期待の元、探してみました。
それがこの「Wayback Machine」というサイトです。
URLを打ち込むと、全ての日付ではないものの、そのサイトを記録した日が複数ありカレンダーから簡単に選べます。日付を選ぶとそこのタイミングでサイトの姿を確認できるというものでした。そのため、URLがわからなければ手も足も出ません。イチかバチか、私が読みたい論文が発行された後の日付を探してみると、、、
ちゃんとあるではないですか!
最初はサイトのホームぺージを表示させてから、過去のアーカイブなどをクリックすると、しっかり当時の動きのまま次のページも表示させる事ができます。これはすごい。
正直、次のページもそれぞれURLを打ち込んで進めていかないと考えていたので、当時と同様の動作環境でサイトを閲覧できるのはすごいと思いました。驚きながら論文をさがしていくと、、、
ありました!
pdfのリンク先こそ開く事はできませんでしたが、サイトに論文のfull textが表示されていたため、しっかりコピペする事ができました。まさかこんな簡単に行き着くとは予想しておらず。これは皆に共有した方が良いだろうと思い、筆を取ったのでした。こんな大真面目にタイムマシンサイトを使っているのは私だけではないだろうか?まあ、そんなことはないか。。。
そんな訳で、どうしても論文が見つからない方へ。雑誌が買収されて、過去の雑誌サイトへのアクセスができなくなっている方へ。私が提案する解決策でした。