冬期間の空路で一番心配になることは天気、それも雪だ。新千歳空港、丘珠空港は雪が少ない地域に建設されたとは言われているが、それは「比較的」というだけで結局雪は降る時は降る。積もる時は積もる。いくら雪害に強い札幌といえど、交通状況が酷くなる事はしょっちゅうだ。特に大雪の傾向が強かった2021年度(2022年1-2月)は道路交通状況も通常の3倍程度の時間がかかるなど大荒れした日も少なくなかった。同年は除雪関係の労働力があまり確保できず、生活道路の除雪ができず住民の不満が溜まった。春の訪れとともに雪とともに解けて皆忘れた。
さて、北海道の空路を支えるHAC(北海道エアシステム:JALの子会社)での乗り継ぎのお話。HACでは丘珠空港で乗り換えることとなる。ANAでは新千歳空港の乗り継ぎとなる。この2つを使い分けるという方法は確かにある。
丘珠空港は札幌市内、新千歳空港は千歳市。ただこの2つの空港は50km程度しか離れていない。何が言いたいかというと、札幌が大荒れの雪が降っている時は千歳も同じように荒れた天気になっているだろう、という事だ。(ちなみに函館-札幌は150km、札幌-釧路は250km直線距離で離れており天気を共有する可能性は低い)
丘珠空港が使えない時は羽田空港を使え
さて今回のケースだが、函館からなんとしてでも釧路へ行きたい。丘珠空港、新千歳空港ともに利用できないという状況を検討してみよう。結論としては羽田空港を利用して1時間程度のロスで釧路空港へ着くことができる。実際の運用、デメリットも考えてみる。
函館→丘珠→釧路への乗り継ぎ便は複数の時間帯が利用できる
現在の運行便でいうと
- 9時55分函館発 10時35分丘珠着 11時5分丘珠発 11時50分釧路着
- 13時5分函館発 13時45分丘珠着 14時30分丘珠発 15時15分釧路着
- 14時25分函館発 15時5分丘珠着 16時5分丘珠発 16時50分釧路着
などが運行便として挙げられる。
函館→羽田の便は
- 9時50分函館発 11時20分羽田着
- 14時55分函館発 16時25分羽田着
- 19時35分函館発 21時10分羽田着
羽田→釧路の便は
- 8時5分羽田発 9時45分釧路着
- 12時15分羽田発 13時55分釧路着
- 17時30分羽田発 19時10分釧路着
ということを踏まえると、実際の乗り継ぎ方法としては
- 9時50分函館発 11時20分羽田着 12時15分羽田発 13時55分釧路着
- 14時55分函館発 16時25分羽田着 17時30分羽田発 19時10分釧路着
という経路を辿ることができる。是非、驚いてほしいのだが、そのロスした時間についてである。元々の出発予定の便とほとんど同じ10時前に出発して到着時間は12時と14時頃。つまり2時間程度のロスで済んでいるのだ。この2時間に関して、「めっちゃ時間かかってるんじゃん」とお思いの方は思い直してほしい。この乗り継ぎ便を利用しない場合、残りの交通手段はJRである。北斗に乗り函館を出た後、南千歳で乗り換えておおぞらへ乗り換え道東に向かう。JRの本数は限られているのに加え移動時間は7-8時間かかる。移動後はへとへとになっている事だろう。乗り換え時間帯にリフレッシュもできる4時間の飛行機移動とは雲泥と差と思われる。
デメリットは費用が莫大にかかる事
これを見て諦める方もいるかもしれない。実際の料金を勘案してみよう。函館-丘珠-釧路の乗り継ぎ便は早割などであれば2万円前後で済むだろう。これを当日キャンセルし、当日の羽田経由便を購入するとなると10万円程度(大人普通運賃)が請求される事になる。その差額8万円程度。これを聞いて諦めてしまう人がいるかもしれないが。その差をどうやって埋めるかが勝負である。まだ諦めないでほしい。
伝家の宝刀「株主優待券」を使おう
結論は株主優待券である。航空運賃が50%割引になるこの券。株主にならなくても大丈夫。現在1枚2000円(−3000円)程度で金券ショップなどで手に入れることができる(詳しくは次記事参照)。もちろん株主じゃなくても優待券を持ってさえいれば使用可能だ。50%割引というとかなりお得に感じるかもしれないが、これは普通運賃から50%割引ということだ。普段、旅行などで飛行機に乗る時は少なくとも数週間前から予約することが普通だと思う。その場合は早割などの料金体系になっている。正直なところ、早割などを駆使すると優待券利用とほとんど金額が変わらなくなり(1000円程度の差のことも)、あまりお得ではない。だが、今回の様な緊急事態では話が変わってくる。仮にこの時、優待券を2枚(4000−6000円程度)を所持していたとしよう。
当日、大人普通運賃10万円が半額(2区間なので2枚必要)となるため5万円の費用へと半減となる。株主優待券1枚25000円相当の価値である。もともと支払っていた2万円程度との差額3万円程度を支払うことで羽田経由便を利用することができるのだ。もちろんJRでの乗り継ぎ便の方が絶対に安い(16000-2万円弱)。払い戻しの料金だけでペイできる。ただJR釧路駅から釧路空港への移動が必要な場合(駐車している場合)、JR釧路駅から釧路空港へのバス移動は期待しない方が良い。基本的に釧路空港からたつ飛行機に合わせて個別にバスが運行しているため、釧路空港に定期的に向かうバスというのはないのだ。その移動距離もばかにならなくタクシー移動で1万円弱かかります。つまり追加費用の料金差も2万円程度に減弱するのです。
タイムイズマネー。時間はお金を払うことで手に入れることができる。もちろんマイルも貯まる。私は常にこんなことも想定して株主優待券を持ち歩く様にしている。緊急事態の際のおまもりだ。ただ期限前にはしっかり使おう優待券。
冬の北海道旅には是非覚えておきたいテクニックである。それでは良い旅を。